奇跡と呼ばれたこの村で

紀州有田の湯浅町にある小さな村「田村」。コミュニティハウス「紀家わくわく」は都会と田村を繋ぐワームホール。学生たちが行き来する人口1000人の集落の暮らしと変化を書き残していきます。

【 学生体験記 】ワーホリ体験記

 

なおたかー!がっつり書いてくれたな。笑

ありがとう(^^)

 

秀哉と一緒に行くと連絡きて本当にやってきた。田村に来るのは2回目かな。

田村だけでなく湯浅町のことまで詳しく書いてくれています!!

 

 

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東京大学法学部4年の栁澤直孝です。

 

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9月10日から12日までの3日間、和歌山でお世話になりました。
下宿先の東京から、和歌山での3日間の紹介をさせていただきます。

 


「和歌山行くか!」「よし行こう!」

 

さかのぼること2週間とちょっと、大学の友人の水野と銭湯に浸かっている最中に、唐突に和歌山行が決まりました。

 

実は僕も水野も東大みかん愛好会に入っていて、一度田村にお世話になっています。
その頃から、また和歌山行きたいなぁと思いつつも、なかなか機会を見つけられず…という感じだったのですが、銭湯での一言から和歌山行きが決まりました。


行動するって大事ですね。

 

そこから急いで飛行機をとって(和歌山には新幹線で行くより、LCCを使って関空経由で行った方が安いです)、帰りの夜行バスも予約しました。(大阪発東京行きが2800円でした。安い!)
わくわく。

しかし、直前になり、それどころではなくなります。

 

台風21号です。

僕自身、長野県出身で大した台風被害を受けたことがないので、正直台風をナメているところがあり、「雨降って風がちょっと強くなるくらいでしょ!」くらいに思っていました。
しかし、次々飛び込んでくる台風被害のニュースに、不安が募りました。
和歌山の皆さんは無事なんだろうか。被害はどれくらいなんだろう…。

 

 

9月10日


まずそもそも飛行機が飛ばない疑惑までありましたが、成田を出発し、なんとか国内線が復旧したばかりの関空に到着。

ニュースで見ていた通り、連絡橋は大きく破損し、電車はしばらく運行できないとのこと。
臨時バスで到着したりんくうタウンも、割れたガラスが残っていたり、大きな街路樹が中央から折れていたりと、台風の爪痕は生々しく残っていました。

りんくうタウンからは電車で箕島駅まで向かい、駅まで迎えに来てくれた信太郎さんの車で田村に向かいます。

わくわくも瓦が飛ばされたこと。みかんの木が風で倒されてしまったこと。海沿いの畑は塩害でほとんど枯れてしまったこと。

 

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車に揺られながら、信太郎さんに台風の被害を伺いました。

実際、田村の海沿いの道から見る山は、完全に茶色になっていました。
秋になって葉が落ちた、とかではなく、例年なら緑が茂っているはずだそうでした。

これまでも農業の明るい面ばかりを見てきたわけではありませんが、改めて自然と向き合っていくことの厳しさを改めて感じさせられました。

15分ほどでわくわくに到着。
台風でさらに傾斜がきつくなったような?笑(そんなことはない。たぶん。)

着いた時にはもう夕方だったので、食事の準備から始めます。
回鍋肉を作りました。僕はニンジンの皮をむきました。一緒に作るスープのために卵を溶きました。
それだけです。料理力のなさが露呈しました。

 

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食事には、地元の若手農家の方がたくさん集まりました。
ほとんどが僕より年下ですが、みかん農家として頑張っている人ばかりです。
作っているみかんの話や、田村のお祭りの話なんかをしました。

 

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食事とひとしきりのおしゃべりの後は、田村で漁師をしているりょうすけと腕相撲。

 

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東大生って勉強ばかりの頭でっかちと思われがちかもしれませんが、僕これでも中高はバリバリにバレーやっていたし、大学の施設で筋トレしたりしていて、ちょっと筋肉には自信があるんですよー!

と、いうわけで挑みました!

結果は、瞬殺。

…いや、された方です。瞬殺した方ではないです。
あれ???あれれ????すごい恥ずかしいぞ?5秒と持たなかったぞ?

5分後、そのりょうすけは信太郎さんに瞬殺されてました。世界は広い…。

 

 

9月11日

2日目の朝から、農作業のお手伝いです。

山下紅の畑で摘果のお手伝いをしました。
裂果なんかはわかりやすくていいんですが、葉果比とか、サイズとかの基準になるとなかなか悩ましいです。おいしいみかんを作るために必要な作業とは分かっていながらも、未来ある若者(若みかん)の成長の芽を摘み取るのはなかなか責任重大です。プレッシャーを感じつつ、一つずつ摘果していきます。

 

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青みかん、酸っぱい!!!

 

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お昼休みにはりょうすけがとれたてのシラスを持ってきてくれました!
田村はシラスも有名だそうです。

 

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取れたてのシラスって初めてでした。釜揚げしらすにしてもらって、シラス丼にして食べました。
柔らかくて、適度な塩味と磯の香りでめちゃくちゃうまい。感動しました。

午後も摘果。
あとで聞いたんですが、この日1日で4人がかりでやった分は全体の10分の1くらいだそうです。そして、善兵衛農園では摘果作業を3周行うとのこと。大変な作業です。

帰ってきてお風呂。買い出し。ご飯。牛肉がめちゃくちゃ安かった!
ハヤシライスを作りました。

食後は信太郎さん、まっさんとスマブラ(ゲームキューブの)。
東大生って勉強ばかりの頭でっかちと思われがちかもしれませんが、僕これでも(Wiiだけど)スマブラは持っていたし、大学でも友達の家でやったりして、ちょっと腕には自信があるんですよー!

と、いうわけで挑みました!

結果は、瞬殺。

もう言わずもがなです。なんでそんな強いんですか。農家やってるとスマブラって強くなるんですか。

3人プレイなのに蚊帳の外でした。悲しい。

 

 

9月12日


3日目は朝から雨で、畑での作業はできませんでした。

とりあえずわくわくの掃除。わくわくの掃除は色々なものが出てきて楽しいです。古文書マニアとかではないんですが、戦前の地図帳とかあったらさすがに興奮しません?

お昼になっても雨はやまず、湯浅町のあちこちに連れて行ってもらいました。
お昼は食べログ4.0超え、ラーメン部門日本一になったこともあるラーメン屋「清乃」。こんなところにあるとは。
こってり×魚介系でめちゃめちゃおいしかったです。ラーメン大好きなので非常に幸せでした。

 

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その後は醤油工場に連れて行ってもらいました。

 

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湯浅町は醤油発祥の地でもあるそうです。
なんかもうコンテンツ力エグくないですか。

 

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醤油の試飲とか初体験でした。でも確かに全然味が違う。
おすすめは魯山人醤油です。ぜひお試しあれ。

…と、1日遊んでばかりでしたが、気づけば帰京の時間。
別れを惜しみつつ、和歌山でのあっという間の3日間は幕を閉じました。

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豊かな自然に囲まれ、山からも海からもたくさんの恩恵が得られること。よそ者の僕たちを温かく受け入れてくれる、明るくて面白い人たちがいること。田村には本当にたくさんの魅力があると感じた3日間でした。

 

中でも、僕が魅力に感じたのは、田村の人たちの地元への愛、田村という地域への誇りです。

印象的だったのが、地元のお祭りがすごく大切にされていることでした。わくわくに集まる人たちもお祭りへの熱い思いを口にしていて、そういう地域に根付く文化がすごく大切にされていることが、地域の一体感を生み出す一つの大きな要因なんじゃないかと思いました。

 

そして、そこからもたらされる住民同士の結束というのは、公的機能の縮小していく未来の日本社会において大切になってくるものだと思います。
若い人たちが多く地元に戻ってきて地域の活動で活躍しているのもあり、田村はすごく前を向いた明るい地域です。田村にはこれからの日本の社会の発展のためのヒントがあるんじゃないか、なんて思ったりしました。

 

…と、急に本来の趣旨から外れ、ガラでもない考察をしてしまいましたが、伝えたかったのは、田村は人、自然、文化に恵まれた本当に素敵な地域だということです。

 

今は台風の被害で大変だと思いますが、前向きな農家の皆さんの言葉が印象的でした。きっとこの被害も乗り越え、これからおいしいみかんを作ってくださると信じています。
楽しみにしています!

信太郎さんをはじめ、田村でお世話になった皆さん、本当にありがとうございました。また絶対行きます!長くなってしまいましたが、最後まで駄文にお付き合いいただき、ありがとうございましたー!